植本祭(2016.2.6) 前編

 蔵DE Booksがオープンしたのは2015年10月のこと。始まる前は、果たして本は集まるのだろうかという不安もありましたが、おかげ様で開始当初より、気にかけてくださる方のご好意により、少しずつ本が集まってきました。ありがたやー。

 とはいえ、ここは「まちライブラリー」(注)に加入している蔵DE Books。やはり本を集め方も、寄贈だけでなく、みんなで本を持ち寄って、本の面白さを共有するのがいいのでは。そう考えた私たちは、「植本祭」を開催することにしました。

(注)「まちライブラリー」とは、まちのあちこちに本棚を置き、本を通して人ととの縁を紡いでいく場。全国で展開中。)

 植本祭とは、本棚を一つの植物にみたて、テーマに関する本を持ち寄って、その面白さを語り合い、本棚に並べる。そうすることで、本棚をみんなで育てようというイベントです。

 

 そこで、私たちはオープンした10月より、2ヶ月に一度のペースで植本祭を実施しようということに。いろんな本が集まるといいなー。

 と、思ったら10月、12月とも参加者ゼロ。やはり、本を持ち寄って語りあうのはハードルが高いのかと諦めモードになっていました。

 そして、年が変わり2月。数日前の雪が溶け残る寒さが厳しい日、やはり寒いから今回もダメかと思ったら、やった!ついに植本祭に参加者が!

 参加してくださったのは、文化財愛護協会のMさん。

 そして、今回の植本祭のテーマは下の4つ。

 ・歴史

 ・旅行

 ・動物

 ・としょがかりおすすめの一冊 

 さあ、蔵の中もストーブで暖かくなってきました。植本祭和やかにスタートです!

 前編、後編に分けてお楽しみください。

 


史跡を訪ねたくなる本

①『図解文化財の見方ー歴史散歩の手引き』人見 春雄  編集(山川出版) 

 (テーマは歴史)

 ふるさとガイドをされているMさん。この本は文化財を案内する時の資料として活用しているそうで、書き込みなどの勉強の跡がありました。ふるさとガイドの活動はこうした努力があってこそなんですね。

 建物の構造や年表などが、わかりやすく図解されています。この一冊でかなり歴史の知識が深まりそう。矢板市には史跡が数多くありますが、中でも川崎城がおすすめだそう。この本を持って行くと新しい発見があって楽しめそうですね。

 



妖怪に会えそうな本

お次はとしょがかりの大納言。

 ②『遠野物語 remix』京極 夏彦/柳田 國男 (角川ソフィア文庫)

 (テーマはなんと歴史、旅行、動物の3つを網羅。)

遠野地方に伝わる風習風俗、伝説を記した「遠野物語」を京極夏彦が読みやすい文章で書いた本。どこかで聞いたことがある昔話の元ネタは「遠野物語」だった!「妖怪の話も多い」、「遠野に行ってみたくなる本」ということで、一冊で「歴史、動物、旅行」の3つのテーマを網羅。いろんな角度から読むと楽しさ倍増。関連本「ゲゲの鬼太郎」と共に。



目からうろこの本と甘いだけじゃなかった本

次に読書家の小町から2冊。

 ③「読書について」 ショーペンハウアー 著  鈴木 芳子 訳(

光文社古典新訳文庫)

 (テーマおすすめの本)

本は他人が書いたのであり、読書は他人に考えてもらうこと。限られた人生の中で読書にばかり時間をかけると、自分で物を考える力を失うと書いてあります。「読書について」というタイトルでありながら、本を読んできた人ほど絶望的になる内容。本に限らず多くの情報に囲まれた現代の私たちにとっても、大きな警鐘になりそうな本です。

 

 ④『砂糖の世界史』川北 稔 著(岩波ジュニア新書)

 (テーマは歴史)

歴史に興味をもつきっかけになった一冊。東南アジア発祥の砂糖がアレクサンダー大王の遠征で世界に広がり、16世紀の南アメリカで奴隷制による大量生産。その後ヨーロッパ人に文化を滅ぼされても砂糖だけは生き残り、英国労働者のカロリー源に…。たかが砂糖。されど砂糖。時代を遡るだけではなく、今につながる砂糖の歴史。